第1話 秋日和の中で
2011.11.14, 月曜の朝
~2011.11.10(木)~
昨今、世界中の政治と経済の混迷、身近なところでも暗い記事が賑わう中、
久しぶりにポカポカとのどかな秋日和が続いている。
昨日の午後二時頃、この陽気に誘われ得意先からの帰り道に道庁の庭に立ち寄った。
弊社が設立して早や28年が過ぎ出発点となった事務所は近くの毎日会館であった。
50坪の面積を持つ3階の部屋には8人ほどの社員(同志)が集まった。
窓から赤レンガを囲むように木立が茂る庭と光る池が見え、桜の満開が終わると柔らかな色彩のライラック、そして晩秋の燃える紅葉の風景といった具合に、窓の中では幾度も四季が巡り歳月は流れて行った。
思わず懐かしさが込み上げ柵越しに庭を覗くと、枯れ葉が舞う池の中で数十羽のカモが集まり元気に泳いでいた。
お陰様で私も会社も無事、元気だ!と赤レンガに近況を報告するような気持ちで立ち止まり眺めていた。
よく見ると、蓮の葉を囲むように五羽のカモが等間隔で向かい合い、それぞれ首を振りながら何やら会話を交わしているみたいな光景に出会した。
直ぐにでもシャッターを押したくなるような珍しい様子に目を奪われ、一体彼らにはどの様な相談ごとがあるのだろうか?と、真面目に受け止めていた。
それはナゾとしても彼らの姿や形、羽根の生え具合から察すると、どうやら今年の春に生まれた兄弟らしく、もし、そうであれば、彼らの話題は来年の春のことに違いなく、
果たして新しい弟たちが何羽ぐらい誕生するのか・・と待ち望み話し合っている・・そんな絵柄が脳裏を過ぎった。
同時に、我がHIT技研もこの兄弟と同様、新年度には新しい仲間を何人迎えることが出来るのか?・・そう思うと、設立以来の28年間はアッという間の出来事だった。(終)